寺田 雅史/Masashi Terada /左 1976年 大阪府岸和田市生まれ 1999年 大阪工業大学工学部建築学科卒業 2004年 寺田雅史建築計画事務所設立 2009年 屋根裏設計事務所設立 中山 陽州/Yoshu Nakayama /右 1977年 大阪府生まれ 2000年 大阪工業大学建築学科卒業 2007年 中山陽州建築設計事務所設立 2009年 屋根裏設計事務所設立 屋根裏設計 今回は大阪の玉造を拠点とし設計活動をしている屋根裏設計さんの事務所にお邪魔してきました。現在住宅設計を中心に動き始めた事務所です。 これが屋根裏設計さんの玄関です。 急勾配の階段をあがると。 これが屋根裏設計さんの事務所です。この日は丁度打ち合わせの最中でした。 この後、丁度一ヶ月前にお手伝いさせてもらっていた住宅の1回目のプレゼンテーションが終わり、そのスライドを見せて頂き、そこからインタビューを開始しました。 (聞き手:TL=瀧口) 学生時代と社会人になって変わった事 TL:最初の質問は、お二人が学生時代と社会人になられて変わった事、気付いた事があればお聞きしたいと思います。 T:学生時代はあまり建築の事が好きではなかったかな。真面目に考えてなかったと言うか、みんなが言う建築家を疑って見てた部分があったと思います。だから僕は社会人になってから勉強しだしたって言う感じ。 TL:なるほど。 T:僕の場合は学生時代から今に至るまで一周してきてる。例えば、さっき建築家を疑ってたって言うのは、建築家はエゴの固まりなのではないか?自分が考える建築家はそうじゃないと。それである所で働いてみるんですけど、そこには社会状況や経済に乗り過ぎた部分を体感して、やっぱり反発精神が働いた。だから今こうして独立して、一周してる気がする。 TL:何事も疑ってみる事は凄く大事な事ですよね。このtotsulensのコンセプトも日常を疑うって言うコンセプトが入ってます。では、中山さんはどうですか? N:僕の場合は学生時代も社会に出てからも基本は変わってないと思います。寺田君みたいに疑う精神みたいなモノは常に持ってた気がします。良い意味でおかしな事をしてた様な気がするし、今でも真剣にふざけてる。学校の課題で美術センターの課題があった時は敷地の中央にアホみたいにでかい壁を1つ建ててみたり。 TL:中山さんの学生時代がかなり気になりますね。お二人は根本は真逆なんですが、どこか似てる部分をお持ちですよね。そう言う部分は一緒に仕事をしていく上でもの凄く重要な事なんではないかと勝手に思ってます。 N:そうかもしれないです。後、僕が社会人になって感じた事は自分の意見を相手にうまく伝える事の重要さを感じました。それに人の意見を取り入れる事の楽しさも気付いたかな。 T:それは僕も感じました。社会人になって初めてクライアントって言う存在の大きさに気付く。そう言う部分ではお金のマネージメントは学生と社会人になってからの大きな違いなんじゃないのかな。 TL:確かに学生の時は課題にクライアントの意見は入ってこないと言うか、架空の存在ですね。屋根裏さんはクライアントの存在をどの様に感じているのですか? T:もちろん大事な存在だと思っています。建築は美術と違って、人のお金によって成立する物だから。で、設計の話になると、クライアントを巻き込んで進めて行きたいと思っています。それが結果良い方向に進んで行くから。だから僕らは、どんな設計を依頼されても、クライアントやお金の問題にはしたくないんです。 大阪という場所について TL:次の質問に移りたいと思います。今大阪で事務所をかまえていますが、その理由はなんですか? T:僕の場合は中山君に誘われたのがきっかけかな。だから偶然の産物と言うか。 N:僕も元々大阪で事務所をやってたって事くらいで、大阪にこだわる理由みたいな物はないかな。 TL:なるほど。ではきっかけが大阪だったって事でそれが東京とかでもよかったって事ですか? T:そうですね。別に東京が嫌で、大阪でやっていると言う事ではなくて、そもそもローカリィティーみたいなものにあまり興味がないんです。だから東京に行く気もあるし、それがロンドンだろうが、上海だろうが、どこに行っても通用する建築をつくる気でいます。そう言うきっかけを与えてくれる関係とかクライアントとの出会いさえあれば。近々東京にも事務所を構えようとも思っているしね。 TL:そうなんですか?屋根裏さんが大阪にいる内にインタビューできて良かったです。そのローカリィティーについてもう少し議論したいのですが。 N:うん。例えば関西と関東だからここが違うとか、そう言う話にあまり興味がないんです。だから歴史の話とかも同じ。僕の場合は自分のアンテナに引っかかる事はしっかり押さえてそれ以外は小説を読む感覚に近いと思います。 TL:なるほど。建築を考える時の1つとして敷地の歴史を探ってみるとか、建築そのものの歴史とか哲学をきっかけにする事があると思いますが、それはどの様に考えていますか? T:僕の考えは、歴史を語る人は保守的なのではないか?と思っています。もちろん大事な事ではありますが、それよりかは歴史上に名を残す、何か革命を起こしている人達。そういう人物、行為に興味がありますね。建築においても共通する部分は多いと思います。 具体的な作品について/ONH まず自分が知っている事から書く事にします。 住宅設計であり、敷地がかなり狭く、四方を住宅に囲まれています。模型のお手伝いに行かせて頂いた時は2つの案が進んでいて、その両方を1:30で作りました。自分が見る限り全く異なったタイプのプランで、内部完結型と外部との関わりに重きを置くプランでした。 内部完結型のプランの特徴は木造三階建のシンプルなハコ型のファサードで、断面は木の枝が様々な方向に伸びるイメージ。部屋の用途はかなりフラットで、ここが屋根裏さんの設計プロセスにあたる部分だと感じました。 スタディ模型1 スタディ模型2 敷地との関係 TL:次はONHについてのお聞きしたいのですが、まず敷地を見て感じた事ってありますか? N:もうすでに壁があるな。と感じました。周辺に囲まれている分、後は自由度が高いと言う風にポジティブに読み取れたと思います。 T:後はコストと不動産的価値かな。もちろんこの土地だから出来る事はあるし、光の入れ方はトップライトが有効なんじゃないか?とか。そう言う話は次の段階になってくるんですが。 TL:確かにもの凄く囲まれていますし、僕が初めて見た時は驚きました。どちらかと言うとネガティブな印象を持ちました。ではなぜあのデザインになったのでしょうか? T:ONHがあのデザインになったのは、決して敷地に対してこのデザインが正しいとかそういう話ではないんです。僕らはあくまでどの場所にあっても通用する建築を建てる事を前提に設計しているので。 スタディ模型1:30 設計プロセスについて TL:ONHに限らず、屋根裏設計さんの設計プロセスをお聞きしたいのですがよろしいですか? T:はい。さっき言った様に僕たちはどこの場所にあっても通用する建築を建てる事と、人間の本能に訴える建築を建てたいと思っています。それが洞窟みたいな物であったり、時にはジャングルジムみたいな物であるかもしれないと言う事。簡単に言うと、ワクワクする建築。本当の意味でフレキシブルな建築を作りたいと思っています。 TL:凄くわかります。僕自身、模型をお手伝いさせて頂いている時ワクワクしながら作っていましたし、先ほど見せて頂いたプレゼンでもニヤニヤしてしまいました。 N:僕らはもしかしたら学生より学生らしい設計をしているかもしれないな。 TL:確かに屋根裏さんの会話を聞いていると本当に学生っぽさが垣間見える時がありますね。目は笑ってないですが、、、 原理・原則について TL:これは聞きたいなと思っていたのですが、よく屋根裏さんの会話の中で「原理・原則」と言う言葉が出て来るのですが、それは一体どういう事なのでしょうか? T:そうですね。簡単に言うと、先ほど言った本能とか原始的なものって事ですね。例えば、ある原理の上に少し自分なりの想像を加える事があると思うんですが、そんな感じで想像を膨らませていって建物ができたとすると、確実に全体のイメージとかデザインに少なくともある原理性みたいなものはありつつ、1つの場面としてはよきせぬ立体性とか空間の豊かさみたいなものがあるんだと思っています。それをまとめて言葉にすると「原理・原則」なんだと思います。 TL:ありがとうございます。そのルールにのりながら設計していく事が結果普遍的な建築の在り方に繋がると言う事ですね。では、最後に僕ら学生に何か一言お願いします。 T:一番言いたいことはまず自分のもの差しを持つ事。それが本質を見極める事に繋がると思います。良いデザインの建築を見た時、そのどこが良いと思ったのか?を計る事が大事だと思います。 N:僕は上手く人に伝える力が大事だと思います。自分の意見にどれだけ人を巻き込めるか。それが建築を作る人になれるかどうかだと思います。 TL:肝に命じておきます。それではこれでインタビューを終わらせて頂きます。今日はお忙しい中本当にありがとうございました。 屋根裏設計さんは、最近二人で事務所を設立されたばかりで、HPはまだありませんが近々立ち上げる予定みたいです。その時はまたtotsulensのブログで紹介したいと思います。また、6月の末には今回紹介したONHの2度目のプレゼンテーションがあるので、このブログを見て興味を持った人は是非オープンデスクに行ってみて下さい。いつでも大歓迎とおっしゃっていたので、連絡お待ちしています。
by totsu_lens
| 2010-06-10 00:11
| INTERVIEW
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